わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

2018-01-01から1年間の記事一覧

マイ・キューピー・ガール

のゆが手術を終えてICUに入って、みっかめになった。手術が予定通り終わりました、と言われて2時間たって、ICUに初めて入ったとき、のゆは大きなベッドでぐっすりと眠っていた。保育器のようなものを想像していたので、案外普通のベッドで、ひょうしぬけする…

しずかなへや

シャンシャンがあす一歳になる、と、昨日、ラインのニュースで見た。米朝首脳会談が、リョウコの住む、シンガポールでひらかれている、とやはり、スマホの画面でニュース写真を見た。家族控え室という個室で、四角い窓の外には、白く光る雲に覆われた明るい…

ファティマの十字架

5月の日曜日、こどものためのミサに行くために、かりんと教会へ行った。のゆはいつものように、抱っこひもに入れていった。早めに着くと芝生には日曜学校の子供達があふれていて、その前のホールのあたりでは、古本やちょっとした雑貨が並べられたり、修道院…

むし暑い午後

土曜日。のゆの入院前のさいごの週末、午後はみんなでちかくの広場へ遊びに出た。かりんは自転車、あおはストライダー(幼児用のペダルなし自転車で、これでバランスをとる練習をしておくと自転車にすぐ乗れるようになるといわれているスグレモノ)、そして…

良い魔女の呪文

雨の水曜日、のゆを連れてヨガに行った。先生の家でのレッスンにのゆを連れていくのは2回目、先生は、ヨガマットとタオルを畳んで上にフリースの毛布をかけたのゆのベッドを用意してくれていた。 その日の朝、抱っこ紐の中ののゆは、わたしが歩くたびに上下…

夜の先

のゆと同じ生まれ月のダウン症のおんなのこと地域の療育先で出会ったのでうれしくて、2回目の療育のあとに約束して親子でおひるをたべた。その子は近くの大きな総合病院でうまれ、けっこうながく入院して、出るときには療育園と口腔指導と隣駅のおおきな小児…

キリンの丘

多摩動物園は、あちらこちら工事中で、目の前に見えている休憩所まで行くのにおそろしく遠回りをしなくてらならず、あまりにも!とおもったけれど、その山の上にそびえて真っ白く新しげな建物はまるでギリシャの丘の上に神殿があるような風情だった。たぶん…

祈り

バスを降りると、ランドセルを背負ったちいさなおんなのこが、バス乗り場の金網ごしに指をのばして、ハルジオンの花が綿毛のようになっているのをそっと、散らしていた。ただ無心に、たんぽぽの綿毛を吹くほどの勢いもなく、そっと指を伸ばしていた。わたし…

リリーの魔法と好奇心について、わたしが教会で、聞いた声について。

教会で聞くのはいつも、神父と言う名の男性の声である、ということにわたしが気づいたのは、金曜の夜、ちゃきの作・演出の「リリーの魔法と好奇心について」を、阿佐ヶ谷の久遠教会で見たからだ。教会で朗読劇が行われるということはもちろんわかっていて、…

すみれ、おんなともだちたち

むかしからのともだちであるマヤがアクセサリーショップを出店するというので、雨の上がった午後、のゆを抱っこ紐に入れたまま、渋谷まで足を延ばしてヒカリエに行った。マヤがつくる、ほんものの花を樹脂でコーティングしたあでやかなアクセサリーたちを、…

のゆのきょうだい

薬局で薬を待っていると、シャンシャンが、もうすぐ一歳で、26キロになったとテレビのニュースで言っていた。26キロ! のゆが生まれた病院にまだ入院していたころ、わたしは先に退院し、ひとりで自宅に戻った。こどもたちはおっとの実家に滞在していて、わた…

さいきんの、のゆ

のゆは、ちいさい(おなじ月齢のこどもたちとくらべて)。 のゆは、ひだりにだけ、寝返りをする。 のゆの指の力は、つよい(握られると、痛い)。 のゆは、おもちゃをなめる(あかんぼうとして、ふつうのこと)。 のゆは、漢方と薬をのむ(わたしより文句を…

苦み、甘み

のゆが生後2ヶ月くらいから通っている療育クリニックで、今度手術をうけることをはなすと、体重がふえるからと漢方薬をもらった。0歳に粉の漢方薬、1日3回。泣きながら吐き出すことしか想像できず、どうなることかとおもったら(一向に薬の袋が減らず、山積…

のゆの洗礼

昨日はのゆの、洗礼式だった。先祖代々カトリック信者だというおっとの家族は、義理の兄夫婦にこどもがうまれてその子たちがしばしば教会に行くようになってから日曜は教会へ、というような家族になり、わたしたちはあまり教会にはでかけないものの、やんわ…

のゆの新生活

心臓の数値に問題ありと、検査した病院に救急で(!)いくように言われたものの、先日とあまり変化はないとあっさり返されたのゆの最近の生活の変化は、スプーンの練習、としておかゆをたべるようになったことだ。人形の口に入りそうな小さな先がついたほそ…

マリアさま

今朝はあおを一時保育のほいくえんへ送って行きながら、青空と聖母像のことを考えた。考えたら書けるようになって、一気に聖母像のことを書いた。ずっと書きたくて書けなかった風景のことだった。読み返して、気合入ってるなあ、とおもったら、月いっかいの…

あの日みた風景

五月晴れ、ということばが浮かぶ青空だ。そうおもうたびに目に浮かぶ風景があって、それはかりんが洗礼を受けた碑文谷の教会の、ほんとうにルルドの岩場を再現したようなゴツゴツした岩の窪みに佇む聖母像かとおもったら、どうも違う。緑の向こうにやっと見…

すてきな花見

のゆを連れて、鵠沼海岸海岸のちゃきとはじーの家にいった。黒猫のペロには紙風船を買い、ほかには、名前をいつも覚えられないシナモンの美味しいパンと、細いバゲットを買った。ロマンスカーに乗って、旅行気分で行くのも好きだけど、昨日は普通の小田急線…

わらってばかりの、わたしたち。

今朝、気づくと寝返ったのゆの、軸となる方の腕が体の下から抜け出していた。自由になった両方の手を顔の下あたりにして、顔を懸命にあげていた。いわゆる、寝返り完成である。 見て!のゆ、腕がちゃんとぬけたよ!とわたしがさけぶと、ダイニングテーブルに…

のゆ、わらう。

昨日、のゆが寝返った。 これまでも、うでとあしをおなじ方向に平行にのばして、ヒの字みたいになることから始まり、ほぼ寝返ってます、あと床との隙間20度くらいです、というところまでいったりはしていたけど、そのときは完全にぺたんこで、これは寝返った…

夏日、新緑。

退院した翌日は夏日だった。前日から、今日は買い物にいくと決めていた。のゆを抱いているとあまり荷物をもてないので、はじめてベビーカーにのせていくことも。 ベビーカーのほろに、新しいベビーカー用のモビールをくっつける。横から見てかわいいモビール…

退院の朝

退院の日は、おっとが休みをとっていた。朝6時前に起きて、お義父さんの運転する車で病院へむかう。ついたらのゆは、まだぐっすり眠っていた。 看護師さんが昨夜の様子を教えてくれて、5時ごろ、ほにゅうびんでミルクを飲んだという。これで手術の入院のと…

シリンジ・ほにゅうびん

麻酔が覚めたということで病室に戻されたのゆは、それでもそのまましばらく眠り、次に目を覚ますともう、水を飲める時間になっていた(麻酔の前後は、しばらく水分をとれない)。看護師さんがほにゅうびんで水のようなものをもってきて飲ませようとしたけど…

パレットのこどもたち

入院して翌日が、検査だった。のゆが大きなベッドのまま、手術室の大きなドアに吸い込まれていくのを見送るっていると、小学生くらいの女の子を同じように見送った男女がドアのそばで手を振って、女性が目元を押さえていた。なんとなく不安になりそうになっ…

一定の量のなみだ

わたしが産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。生まれたときから心臓に、小さな欠陥を抱えていたのゆは、ついに検査のために入院した。大きな公園のそばにある、こどもだらけの病院だ。 にはくみっかの、けんさにゅういん。 わたしはキャリーバッグに本…