わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

マイ・キューピー・ガール

のゆが手術を終えてICUに入って、みっかめになった。手術が予定通り終わりました、と言われて2時間たって、ICUに初めて入ったとき、のゆは大きなベッドでぐっすりと眠っていた。保育器のようなものを想像していたので、案外普通のベッドで、ひょうしぬけする。それでも、鼻には細いチューブが入って機械につながって、おでこにはセンサーを貼られ、あたまには氷嚢が添えられ、それなりにものものしいのだけど、大きすぎるベッドに上体をすこし起こした態勢でしっかり固定されているようすは、なんだかとてもうやうやしく見えた。美術館の展示品、とか、祭壇のまえの器、とか、そういったたぐいの、うやうやしさに。

 

むき出しの肩と、体を覆うバスタオルから少し見えるうではむちむちとしてしろくて、でもまったくうごかない、顔もふっくらした頬がしろくてまるみを見せているけどしんとして、なんだかホンモノのキューピー人形みたいだった。その印象はその後いつ会いにいってもかわらなくて、ぐっすり眠っているよ、はだかんぼでキューピーみたいだったよ、とわたしは連絡をくれるいろんな友人たちに返事をしてる。

 

昨日、鎮静剤で眠っていたのゆは、わたしが声をかけた瞬間に、おどろくほどの俊敏さでくるり!と顔をこちらに向けた。そのまままた目を深く閉じて眠ったのだけど、聞こえたんだなー、としかおもえなかった。だからわたしは会いに行くとそっと声をかけている。

 

もうすぐ、しっかり覚醒したら自発呼吸にきりかえると今日きいた。しばらく見ていると、ふと目を開けそうに瞼がうごき、口をもぐもぐさせたりしたのだけど、眠りが深くなったり浅くなったりしているようで、なかなか目はさまさなかった。おひるどき、まだ起きそうになかったので、わたしは一度ICUをでて、地下のパン屋でサンドイッチを買った。ボランティアの人の手作り品が売られている小さなショップをのぞいていたら、前は気にもしなかった「おばあちゃんの手作りきせかえにんぎょう」という布の人形が目に入る。顔も体も布製で、毛糸の髪の毛を2つにわけて結ばれているおんなのこの人形だった。着替えの服もいろいろある。うちにはもういわゆる赤ちゃん人形がいないので、のゆにはこれを買ってあげようかなーとおもいつく。病院にきたときにお洋服を買えるし、普通のおおきな人形より、軽くてやわらかくて、のゆにはよさそうだ。一緒に眠って、おでかけして、いちばんのお気に入り人形になるかもしれない。

 

すこしまよって、せめて退院するときまで待とう、と、今日は棚にもどしてきた。退院するとき、一緒に連れて帰ろうかな、と、おもっている。