退院した翌日は夏日だった。前日から、今日は買い物にいくと決めていた。のゆを抱いているとあまり荷物をもてないので、はじめてベビーカーにのせていくことも。
ベビーカーのほろに、新しいベビーカー用のモビールをくっつける。横から見てかわいいモビールではなく、下に寝ている赤ちゃんにしっかり模様が見えるように、下向きになっているモビールだ。日本には売られてないと聞いてアメリカのサイトで買ったら、実は最近ボーネルンドでも売られるようになっていたのだけど(ね、やっぱりボーネルンドにはなんであると錯覚してしまう!)キャンセルができないのでさらに二週間、アメリカからの荷物の到着を待たなくてはいけなかったモビールだ。
ベビーカーに寝かされたのゆは当然のように肩のベルトを舐めはじめる。綺麗じゃないと思うけど仕方ない。カバーをするか、取り外して洗うしかないだろう。とりあえず出発。ゴミ捨て場でベビーカーを止めると引き裂くように泣き出した。また進むと、泣き止む。時々止まるとつんざくように泣き出すので、ははー、止まると泣く系か、と思う。とにかくゆっくり、進み続ける。途中で、だっこひもを忘れたことにきづく。初のベビーカーにしては冒険してしまった。気が抜けてるなとおもうのはこんなときだ。なんとかなる、とおもっているのだ、3人めともなると。手抜きである。
住宅街の中の小道の脇に、枝垂れるように新緑の葉と桜のような花をつけた木があった。ことしは桜が早すぎて花見の気分が満たされきれなかったので、そんなことでもうれしくなる。2人でお花見だ。
来年は心穏やかに桜を見れるかな、と言ったおっとの言葉を思い出す。のゆのことかと思ったら、部署異動の話だった。今の部署は桜の季節がとても忙しく、会社の近くのお花見スポットに溢れる人に苛立ってばかりだけど、もうすぐ異動がきまっているのだ。そしたらそのお花見スポットまでみんなでいくから、会社の後に夜桜を見ようよ、とわたしは言った。そこまで暇かなあ?とかれは言ったけど、悪い案でもなさそうだった。来年はみんなで、桜を見よう。