わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

よりそうこころ

本来まったく虫歯ができない体質だったのに、妊娠、出産をしてからのわたしは虫歯の問屋になってしまった。半年、歯科検診が空いたらもう虫歯ができていて、12月に2カ所も治療した。幸い、「削って詰める」程度の治療だった。

2回目の時、留守番を頼んでいた母が手違いで来ず、仕方ないのであおを留守番させ、のゆを連れて歯医者に行った。ベビーカーに、絵本やジュースや飲むゼリーをたくさん詰めて行った。わたしが横になる治療台のすぐそばにベビーカーで座らせておくと、じいっと神妙に座っていたが、麻酔が効くのを待ちます、と言って歯科衛生士さんがいなくなるとやおらにわたしの手をそっと取って、顔を見てにっこり、とするのだけど、その癒し効果といったら、親バカといわれてもいい、世界一ではないかと思ったほどなのだった。なんの下心もない顔。ただ愛情と励ましだけを送ってくる顔。誰かの具合の悪いのを心配するときわたしたちが醸し出してしまう、自分が辛いというような悲しみや不安のようなもの、あれが一切ない顔だ、ただひたすらに、あなたの平穏を祈りますという顔だった。赤ちゃんとも違う。色々わかり始めて心配してくれるこどもとも違う。ひたすらに、ただ寄り添う顔。この子は誰かに寄り添うということを仕事にしたらいいんじゃないかと思わず考えたほどだった。

 

こどもがダウン症があると告げた時にある人に「アメリカで、エンジェルズ ギフトって言いますよね!」と言われて、聞いたことないなあと思ったけど…少なくとも、彼女が好きなひとに対しては、彼女は時に「エンジェル」なのかもしれない。イヤ!と言って物を投げたり、気に入らないとベビーカーから靴や靴下を驚くほどのコントロールで投げつけたり、兄と喧嘩して全力で飛び掛かって行ったり、決してエンジェルなばかりではなく、ごく普通の子どもなんだけど、思わずそう思うくらいの、寄り添い方だった。それがなんなのか、わたしは今もまだ、わからないけど。