わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

マイ・フェイバリット・シングス

かりんもあおも風邪で調子が悪く、家でごろごろさせている土曜日だった。昼寝から目覚めたあおとかりんが一緒に観れる映画を検索し、iPadをテレビにつないで再生して、昼寝しそびれていたのゆを寝室に連れて行った。

 

午前中小児科につき合わされた帰りにはベビーカーでうとうとしていたのに、その短い眠りのせいか全く昼寝モードに入らないのゆは、何度体を横にしても、しばらくすると起き上がってベッドの下の姉のおもちゃを引っ張り出したり、薬局でもらったままに丸まって放置されているポケモンのカレンダーを振り回したりしている。だんだん横になる時間がでてきたかと思ったら、それでも寝返りばかりするので、すぐに布団から床に落っこちてしまう。

 

わたしはウトウトしながら時々目を開けて、のゆが起き上がれば体をタックルみたいに布団の上に引き倒し、カレンダーを取り上げ、おもちゃを遠くにおしのけ、布団から落ちているのを見れば布団に運び直す。そして何度でものゆのからだに、布団をかける。その時ふと頭に浮かんだのが、「マイ・フェイバリット・シングス」というフレーズだった。サウンド・オブ・ミュージックの、あのうた。毛糸のミトンとか子猫とかやかんとか出てくるあのうただ。少女のお気に入りの他愛もないものたちがたくさん出てくる、愛しいうた。わたしの「フェイバリット・シングス」は間違いなくここにある。タオル地のベビー服に包まれて(さいきんのゆにはもう少し「子どもらしい」服を着せるようにしているけど、家の中やパジャマではまだロンパースを着せている)ぬいぐるみみたいな?赤ちゃんみたいな?どちらでもない、物語の中のベビー(達者にしゃべるのにロンパースを着てくまのぬいぐるみを抱いてる、ディズニー映画のピーター・パンの一番下の男の子みたいな)みたいな、でも物語じゃなくてここにいる、いてくれるのゆは、わたしのあかちゃんの好みとして、ストライクゾーンどまんなか。まるいほっぺた、たよりなく伸びたほそい髪、小さな不揃いな歯、笑ってくしゃくしゃになるちいさい鼻、自分の頬をすぐに傷つけてしまう薄い爪なんかの、そのぜんぶ。マイ・フェイバリット・シングス、それは、わたしの、おきにいり。