のゆが、自力で体をはこんでうごくようになった。
長いあいだのゆの移動手段は、せばい、といっていいのか、仰向けのままくるくる方向転換しながら動く、というおかしな動き方で、それに寝がえりをくみあわせて、部屋のなかを移動していたけど、そのうち、手を前に出して体をひきずる、いわゆるずり這いのような動きが始まったのは、2月のはじめだっただろうか。
まだまだそれはレアな現象で、右手だけをうんと伸ばしてお尻をひだりにひねって、足を縮めて伸ばして動いていて、両手が前に出るようになるのか見守っていたのだけれど、あっという間に、一週間の間にのゆのずり這いは進化を遂げ、両手を同じように前に出して足の裏で床を蹴って前に進むようになった。最初はよほど欲しいものがある時にしかやらなかったずり這いを(しかもそれは、床に落ちている包みに入ってるアメとか、ボールペンとか、テレビのリモコンとか、床に敷いているスポンジマットの端っことかなのだ)今は駆使して、家の中を探検し始めている。
ゴミ箱を見れば袋を引っ張って中身を出さずにはいられないし、私のカバンも同じだ。ベビーベッドの下のボックスの中のベビー服は何度しまっても部屋中にちらばり、あおいのブロックものゆのおもちゃも、遊ぶのではなく箱に手を入れてつかみ出すのが楽しくてたまらない。昨日は台所の入り口につけてある柵を握っていたし、あおいをお風呂に入れて出てきたら洗面所の前にいた。
こんな風に書きかけの日記が、ブログの下書きボックスに入っていた。のゆのハイハイまでの道のりの、細かい変化の連続を記録しようと思い立ったところだったので、さきにこれを載せておくことにする。今では台所の柵は腹ばいのまま開けて段差を超えて入ってくるし、棚のなかの缶詰やタッパを全部出すのが大好きだし、わたしがあおをお風呂に入れたりするとお風呂のドアの前で座って声を出したり泣いたりするのも日常なので、こんな記録が何か初々しく、まぶしくみえる。