わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

ソフトクリームのかんぺきなかたち

友達家族と出かけるかりんを駅まで送り、早々にスーパーで今日の買い物を済ませて家まで歩いていたらふと、昨日みたカイトの大泣きを思い出した。

 

昨日は、シンガポールに住んでいるりょーこが、4歳と0歳のカイトとナオを連れて帰ってきたので、こどもたちを連れてジブリ美術館に行ったのだ。連日のおでかけで疲れきったカイトが大爆発をおこしたのは、テラスのカフェでソフトクリームを買ってもらい、りょーこが、スプーンいるよね、とソフトクリームにスプーンをさしたとたんだった。ソフトクリームにスプーンをさされたのが嫌だといって、彼は10分くらいはそのままカフェの前で泣いていて、彼が拒否したソフトクリームは、溶けそうになったのでわたしがたべた。

 

結局しばらくして落ち着いたカイトは、ふたたび交渉の末ソフトクリームを買ってもらい、寒くて震えるまで頑張って食べた(わたしはその間に暖かいアップルサイダーを飲んだ、マシュマロとスパイスがうかんでるやつ)。わたしも疲れた子どもの手に負えなさは嫌という程知っているので、やっぱ、昼寝しないと夕方だめだよねー、と話しながら、その顛末については気にもとめていなかったけど、今日、穏やかな冬の晴れ間にひとりで駅からの道を黙々と歩いていたら、急にその時のことをおもいだしたのだ。

 

カイトには、完璧なソフトクリームの形があったのかもしれない。そこにスプーンをさされてしまったら、それはもう損なわれてしまって戻らない。それは大きな悲しみだったのかもしれない。その絶望感を、わたしはきのう、気にもとめていなかった。一日経ってはじめて、そんなことを突然おもった。

 

残念ながらそういうことはこどもたちの日常にしばしばおきる。彼らの描くものは、先回りしてわたしたちが想像する範囲をはるかに超えているから。ソフトクリームにスプーンをさしていいかしら?という調子で全てに了解をとりながら生活することは、ちょっと難しいしね…

 

と考えたら、あれ、なんか『カルテット』のアレみたい。唐揚げにレモンかけていいですか、て聞いてください、ていうやつ。やっぱり、ソフトクリームにスプーンさしていいかしら、とわたしたちは、聞くべきなのかもしれない。せめて、ソフトクリームのかんぺきなかたちを損なったような時、心から真摯に、謝ろうと思う。