わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

21トリソミー、ダウン症を持つ三人目のこども、のゆりとの日々。きょうだいブログ『あおとわたし』(https://aoinotediary.hatenablog.jp/)も始めました。

窓の外、夜の森

窓の外は夜の森だった。タクシーの座席に、沢山の荷物に埋もれながら、夜の森だなあ、とわたしはおもった。これからのゆのいる病院にいく。家族で清里の森に遊びに行って、わたしはひどい風邪をひき、いつも一人で元気だったのゆがその風邪にうつり、あれ、元気がないなとおもったらもう肺炎で、救急外来からそのまま入院してしまったのだった。これが噂の、ダウン症児かぜひくと肺炎コースか、風邪ひいたら入院てやつか、とわたしは妙に納得したようなきもちで、入院という先生のことばを聞いていた。

 

ここは心臓の手術をした病院とは違う地元の救急病院で、大きくて古い建物そのままに病室は木の扉や昔っぽい蝶番が学校の教室を思わせる。床のタイルも、わたしが小学校で見慣れていたものだ。模様かひびかわからない、細かい線が走る薄い冷たいタイルの床。困ったことに付き添い必須なので、わたしは日曜に1日おっとに代わってもらい家に帰り、必要なものを揃えた。わたしの風邪は治らず、午後には高熱がパーっとでたのがわかった。こどもたちを母に頼み、薬を飲んで眠るとだいぶよくなった。夕方また出ようとすると、あおは、ぼくもいく(清里の森に行ったのはあおが森のようちえんに参加するためで、森あそびで鍛えられたのか、あおは急に自分のことをぼくと言いだしたり、なんだかいきなり年を経たようになっている)、のゆのおむかえいく、連れてって、と泣きながらダウンを取って走ってきて、見事なほどの大粒の涙をポロポロとこぼした。あまりに大粒の涙なので、わたしはぬぐってやらずにはいられない。そうしてやっと乗ったタクシーだった。

 

病室の、ベッドになる長椅子に借りた布団を敷いて、薬を飲んで9時にねた。風邪薬で眠くなるので起きれないかもしれません、と看護師さんには伝えたけど、夜の投薬も、夜中の看護師さんの巡回もまったく気付かず朝まで寝た。あまりにぐっすり眠って、わたしの風邪はどこかへいってしまったようだ。