のゆの首の、ほとんど目につかない傷痕について書いたが、ほんとうならのゆの傷痕といえば胸にある開胸手術の傷だろう。傷が中にへこんでくっついてしまうことの方が良くないそうで、わざと、皮膚は盛り上がるように縫われている。退院してきたのゆは、痩せたせいでよけいに薄い胸がその盛り上がりを目立たせて、さいしょにお風呂に入れたとき、盛り上がる傷が恐竜の背中のようだとわたしは思った。のゆは胸に恐竜をかっていると。ふっくらとするにつれ、恐竜らしさは少なくなってきた。でも、恐竜らしくても構わないとわたしは思っている。のゆが胸にもつそのしるしを、わたしは、それとして、愛してるから。