病院の最上階には、レストランがある。ガラス張りの展望フロアで、遠くには山影、足元には運動場やテニスコートのみどりが見える。うすぐもりの白い午後、窓際の席で、ドレッドヘアを太く束ねた黒人の女のひとが食事をしていて、その向こうは逆光で白い曇り空しか見えず、一瞬、まるで異国の空港にいるような風景に見えた。だけどわたしが頼んだ食事は明太子クリームパスタとシーザーサラダだし、その女のひとの食事は学食みたいな定食だった。明太子クリームパスタは辛いだけで味らしい味がしなかった。
それ以来その食堂にはわたしはいかず、毎日のように、病院の前の道を渡ったところにある小さなサンドイッチ屋で、ベトナムサンドイッチを買って食べている。ベトナムコーヒーは甘すぎるので、セブンイレブンでアイスコーヒーを買ったり、売店でアーモンドミルクのパックを買って、病院の中庭にいく。池でザリガニをとる親子や、竹とんぼを飛ばし続けている男の子なんかがいる。緑の匂いがして、木陰の白いテーブルが早い夏日の光を反射する。
ベトナムサンドイッチの具で、特に美味しかったのは、豚ひき肉のピリ辛カレー炒めと、ハムと自家製レバーパテ。牛肉レモンも、美味しかった。これで気になるメニューはみんな食べてしまった。明日は定食屋やさんに、唐揚げ定食を食べに行こうと思う。
